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『こんな時だから夢が必要だ!(前編)』~コロナ禍の今、経済情勢から就職先を考える~
株式会社ジーゼ代表の鈴木と申します。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔み申し上げます。また罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。コロナショックの影響で、多くの方が失業や内定取り消しなどの影響を受けています。戦後最大の危機の中、どのように生活を守る為に就職先を選ぶべきかを皆様に前編・中編・後編に分けてお伝えしたいと思います。
前編はやや経済評論のような内容も多く含む為、就職先を選ぶ際のクリティカルな情報が欲しい方は中編だけお読みいただいてもよいかと思います。もしお時間お許しいただけるようでしたら後編の弊社の夢についてもお付き合いいただけますと幸いです。
2008年リーマンショックの影響
新型コロナウイルスとの戦いにより、私達の生活は一変しました。ウイルスから身を守る公衆衛生を意識した行動制限により私生活や働き方、秩序までを変えるインパクトがあります。経済的側面では、人・モノが制限されています。その結果、需要(消費)が強制的に突如消滅させられるという未だかつてない事態が発生しています。
計り知れない経済ダメージを予測すべく、各メディアでは2008年のリーマンショックと比較がされています。私は新卒で証券会社に就職しました。その後、転職して2008年のリーマンショック時には投資コンサルティングの会社に在籍し、金融危機の渦中におりました。当時も株式市場が大荒れし、金融業界は逆境に見舞われました。投資会社は投資後の回収が見込みづらくなり、私の担当していた投資検討中の案件もたちまち消えていきました。そして金融業界全体でも次第に案件が消滅し雇用も奪われていきました。その後は皆様もご存じの通り、金融業界の衝撃が各産業に波及し2000年代の『日本経済失われた10年』に突入することになります。
失業率はリーマンショックの3倍?
日々の報道を見るとリーマンショック時の苦悩が蘇るのですが、この数か月のコロナ報道で登場する経済指数があまりにも悲惨で身の毛がよだってしまいます。わかりやすいところで言うと雇用統計です。4月16日現在、リーマンショックの震源地だったアメリカのこの1か月の失業保険申請件数は2200万件で4月中に失業率20%に到達するだろうとBloombergは報じています。このペースだと初夏には30%が見えてきています。私が苦悩したリーマンショック時は2008〜2009年まで二年間にかけて10%に到達しました。
コロナショックとリーマンショックの違い
今回は規模感そしてスピード共に歴史的な経済危機のリーマンショックと比べても異常です。リーマンショックでは、『サブプライムローン問題を引き金とした金融ショック』⇒『お金が世の中に回らなくなる』⇒『企業の生産活動が窮する』⇒『雇用者の所得が低減する』⇒『需要(消費)が落ちる』⇒『企業が経営不振になり失業者が増える』という流れでした。この流れがあるので経済学的に雇用統計が経済の遅行指数といわれる所以でもあります。
今回のコロナショックでは厳しい行動制限によって上述の流れの後半部分、『需要(消費)が落ちる』からエントリーし、その威力も凄まじくいきなり『需要(消費)が消滅する』といった緊急事態です。この危機は大規模な1:人・モノの制限による需要(消費)の消滅、2:未曾有の医療危機にまで発展した公衆衛生・生命に関わる問題の2点が主だった要因です。
さらに、この2つの要因は「経済を優先するのか、命を優先するのか」と議論され、私たちの倫理観や社会性が問われています。解決策として命と経済の二兎を追いたいが、倫理観のフィルターを強くした際には「命を軽んじるのか」という見解のもと命をトレードオフする選択はできません。
しかしながら、日本の場合、経済不況時にはコロナでお亡くなりになられる方を遥かに超える自殺者が出るということは統計データから言われています。つまり、我々が直面している問題は「命か経済かのトレードオフではなく、命と命のトレードオフ」なのです。倫理観や社会性が問われる中、実態は命と命のトレードオフであることが様々の立場の視点で見ると理解されづらいです。家族を愛し、身近な友を愛せる人間だからこそ問題がより長期化していきクリティカルな経済的なダメージを受けるのです。もちろん今は感染拡大の局面なので、経済活動より感染拡大防止が優先で財政支出も不可欠です。
コロナショックの「なぜ?」な日本の対応
この大惨事の解決には政治と日本の財政が複雑に絡んできます。これだけの大惨事が起きているのであれば、「すぐに大規模な経済対策を打てばいいではないか」と世論も叫んでおります。米国の速やかな2兆ドルを超える経済対策の意思決定に対して、日本の対応には納得できない方も多いのではないでしょうか。そんな中「なぜ?」大規模な経済対策は速やかに策定しなくて、マスク2枚の配布が先なのでしょうか?そこには、大規模な経済対策を打ちたくても打ちづらい財政状況があります。
2013年より日銀は量的緩和政策をつづけ、市場金利をゼロ金利にして、お金を市況にばらまき経済停滞を脱却しようとしてきました。財源の多くは10年国債の発行で、実質的に日銀が保有しています。通常今回のような大惨事が起きた場合は、アメリカや新興国のように量的緩和政策を実施してお金周りをよくして経済支援を行うのですが、日本では既にこの7年間でやれるだけやってしまったのでもう打ち手がありません。現に日本の負債は1100兆円を超えてGDPにおける負債比率では世界一の財政が悪い国です。これ以上国債を発行すれば、いずれ返済の財源を我々は求められ増税や社会保障の負担増は避けられません。このような苦渋の決断をせまられ、108兆円のコロナ対策を掲げている財源をなんとか捻出したとして、今回は人・モノの行動制限がトリガーとなっているので、皮肉なことに金融政策が機能しづらい状況でもあります。
戦後最大の危機をどう乗り越えるか
さて、これまで経済情勢に寄った話を展開させていただきました。私は経済学者ではありませんが、リーマンショック時に金融業界の前線にいた経験から、明らかに尋常でない大きさの大波が訪れると感じております。人・モノの行動制限から来る需要(消費)の消滅、感染拡大防止に向けた公衆衛生問題。そして、間もなくそれらをトリガーに金融危機も来てもおかしくない状況です。銀行株価の推移を見るにマーケットはその覚悟もしていそうです。そんな中で、政府の財政悪化もあいまって効果的な経済支援は望めない状況です。
喩えるならば戦後最大の台風の中で、波乗りをしている状況です。大きなサーフボードだったら大丈夫なのか?絶対に乗りきってやるというサーファーの想いがあれば大丈夫なのか?小回りが得意であれば大丈夫なのか?いざ態勢を崩した時に砂浜から「今助けてやるぞ!」という声は遠くに聞こえるものの膨れ上がった浮き輪は到底私達には届かないのです。こんな危機的な状況の中、生き残るには大波に逆らわないポジショニングをしていたかどうかが大きな決め手になります。
危機を受け入れ変化する2年に
皆、人それぞれ想いがあり、その業界その会社を選び活躍されてきたことと思います。人々の縁・選択が大きなわかれ道になることも事実です。苦境に立たされるかもしれませんし、大きな機会になるのかもしれません。皆落ち着くまで個々の生活を必死で守っていくことには変わりはありません。一体いつになったら落ち着くのだろうか。それは私にもわかりません。多くの専門家の主張を見るに、ワクチンの浸透によってコロナと共存することに我々人類が容認できるようになるのが一つの節目のようです。いろんな製薬会社や医療専門家の記事から、その時期は2年後くらいなのかと個人的にとらえています。
仮に事態収束が2年だとしましょう。皆様は長いと感じますか短いと感じられますか。私も普段だったら2年なんてあっという間だと思うでしょう。しかし、これからのウィズコロナの2年間は社会人にとって決して無駄にはできない濃密な時間帯になると思います。なぜならコロナショックによって私生活・働き方・お金の価値観といった文化ごと変化を迫られることになったからです。この2年間は新しいスタンダードを創るべく試行錯誤のラーニング期間となるのです。
緊急事態宣言が解除されても私生活ではしばらくは人との距離が気になり、外食に行くのも前のようなウキウキ感は得られないかもしれません。働き方に関してはリモートワーク普及により日本全体で欧米型の成果評価スタイルがより浸透していくでしょう。また、国境で分断されたグローバル化はオンラインを通じて広がっていくでしょう。お金の価値観に対しても有難みを一層感じ、より最高のサービスや製品に対しては気持ちよく支払うが、そうでないものに対してはシビアになっていくでしょう。
おわりに
進化論を唱えた生物学者チャールズ・ダーウィンが残した「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」という言葉があります。変化することは大きな力ですが、変化するためには相当な努力や環境が必要だと思います。これからの2年間を私たちは無駄にすることなく変化に適応していなかければなりません。しかし、今の惨状を鑑みるに誰もが簡単にこの変化に向けたラーニングの機会を得られるかといったらそうではないと思います。企業はキャッシュに余力があり成長して好調の時でなければ、投資がしづらいからです。今まさに企業は投資の中でも人材投資にウェイトを傾けるべき時期ではあるが、実情とのジレンマに悩んでいる企業も多いでしょう。
今就職や転職活動中の皆様に私がここまで経済情勢も考慮に入れて企業を選択すべきだとお伝えしているのは、このかけがえのない2年間を無駄にしてほしくないからです。
以上、
前編の『今なぜ就職先を選ぶ際に経済情勢も踏まえて判断するべきなのか』をお伝えしてきました。中編の『経済情勢も踏まえてどういった就職先を選ぶべきなのか』では具体的にお勧めする業界や企業の特徴についてお話ししたいと思います。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
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