BLOG

2020年4月28日

『こんな時だから夢が必要だ!(後編)』~コロナ禍の今、ゲーム業界にいる株式会社ジーゼの夢~

ブログ_『こんな時だから夢が必要だ!(後編)』記事サムネイル

株式会社ジーゼ代表の鈴木と申します。前編では『今なぜ就職先を選ぶ際に経済情勢も踏まえて判断するべきなのか』について、中編では『経済情勢も踏まえてどういった就職先を選ぶべきなのか』についてお話しいたしました。

後編では『ゲーム業界にいる弊社、株式会社ジーゼの夢』についてお話いたします。後編の内容はVR市場にフォーカスを当てた記事となっていますが、弊社は変わらずソーシャルゲーム市場でこれまで以上の結果を出すことも大切な目標としています。

前編はこちら!

中編はこちら!

映画『レディ・プレイヤー1』とVR

コロナ禍が始まる少し前のお昼時、私達は社内の休憩ルームに集まり映画『レディ・プレイヤー1』の上映会をしていました。レディ・プレイヤー1は巨匠スティーブン・スピルバーグ監督の2045年の荒廃した世界を舞台としたSF映画です。環境汚染、社会情勢不安、貧困で人々の多くはスラム化した街で生活しています。日々の生活に疲れ果てた人々は『オアシス』というVRで創られた世界にのめり込み、理想の人生をそこでおくる様子が描写されています。そこでは異性になっても良い、ヒーローになっても良い、宇宙人として生活する人までいます。エベレストに挑戦したり、空を飛びながら踊り続けたり、そこで恋に落ちることもできる。そんな自由な楽園に人々は魅了され、次第に現実世界との垣根がなくなり、人生の中心にオアシスを据えることになります。

遡り2016年夏、いよいよSonyがVR端末を発売するということで私はPlayStation VRの体験会に参加していました。「あー。このデバイスだ。僕が目指していたものは!」とVRが起業当初に実現したいと思っていた心を揺さぶるエンターテインメント創出の鍵になると直感しました。私は学生の頃から映画・ゲームなどが大好きでした。就職活動で悩んでいる時は映画の主人公に感情移入し価値観を広げてくれ、気持ちが落ち込んでいる時はゲームが爽快な感情を取り戻してくれました。バーチャルリアリティーの概念はそれこそ当時の映画でいうと「マトリックス」が描写していて、いつかそういう日がくるのだろうとインプットされていました。本当にその世界に自分がいるのではないかという没入感を感じさせる技術面とSonyがマーケティングを手掛けるビジネス面の両輪から、VRを通じて表現するエンターテイメントがレディ・プレイヤー1のように多くの人々の心の拠り所になる日も近いと確信しました。

2016年のあの日からもう少しで4年近くになります。世界はレディ・プレイヤー1の時代になったかというとそうではなないと思います。プレステ4本体は1億台の販売台数を達成しましたが、プレステVRはまだ500万台を超えたところ。Facebookが買収したOculusのOculus Questも価格と性能のバランスは素晴らしいですが去年発売されたばかりということもありボリュームという意味ではもう一歩かと思います。やはり大きなヘッドマウントディスプレイをギークたちが装着してゲームをしているイメージが拭いきれないのかもしれません。

VRデバイスの進化と新しいイノベーション

しかし、VR市場の爆発・キャズムを超える為の布石はいくつも打たれてきていることも感じます。世界中のヘッドマウントディスプレイメーカーが小型化に尽力しています。Panasonicも来年発売予定の4K対応で軽量なんと150g(プレステVRで610g)のVRグラスを発表しました。そして、成長段階の市場の中でも人気コンテンツも登場してきました。チェコのゲームスタジオが開発したリズムゲーム「Beat Saber」やVR内でアバターでログインしてコミュニケーションを楽しむ「VRChat」というVRのSNSも登場してきました。そして何よりも大きいのはVRの高解像度リッチコンテンツを支える5Gの登場で、通信インフラが整ってくることです。

端末×コンテンツ×通信インフラがある水準に到達し融合すると新しいイノベーションは急拡大していきます。約10年前に登場したスマートフォンがまさにそうです。「iPhoneを日本人は受け入れない」というような記事が多数出ていた当時が懐かしいです。今のVRやARといったXR市場の評価は当時のスマートフォン市場に似ているように感じます。そして、スマートフォン市場を創り出したといっても過言ではないAppleもVR・ARエンジニアを積極採用しています。同時に、VRやAR関連の特許もたくさん申請してきていて本格参入に向けて動いているようです。スマートフォン市場のiPhoneのような市場を牽引するキラーデバイスが登場する日ももう間もなくでしょう。

これからの体験欲求を埋めるVR体験

株式会社ジーゼは“アジアのHollywoodを創ろう!”をスローガンに大阪でスマホ・PC・コンシューマーゲームの開発を手掛ける創業10年の会社です。私たちもHollywoodのような人々の心を揺さぶるエンターテインメントを創りたいという想いを胸に秘めながら、現在絶賛VRゲームを開発しているところです。VR市場におけるゲームコンテンツでは高解像度・高品質で最高の没入感を得られることは当たり前に求められてくるでしょう。そんな中で私たちは没入感に加えて、VRデジタル×フィジカル体感の融合が新しいエンターテインメントの付加価値であり、人々を魅了し人生の一つのパートのような心の拠りを創り出すのではないかと考えております。

これまで私たちは外食や旅行などフィジカルな体験(コト消費)を求め、楽しんできました。今回のコロナ禍で自粛を強いられこのフィジカルな体験がいかに尊いかに気付いたはずです。家にいてもUberEATSで好きだったお店の料理は注文できるでしょうし、YouTubeでハワイの砂浜の動画を見ることもできるでしょう。しかし、一度フィジカルな体験を満喫してしまっている私たちは何か物足りなさを感じてしまうのです。それでもアフターコロナの時代では人々は日常的に三密を避けるように暮らし、デジタル・オンラインを利用する時間が増えていくでしょう。増えるデジタル・オンライン時間、満たされないフィジカルな体験欲求。この溝を埋めるひとつがVRデジタル×フィジカル体感の融合だと思います。

例えば恋愛ゲームだったら、

<叶わぬ恋だと悟ったジュリエットは、差し出した手を振り払いその場から逃れようとした。僕は必死でジュリエットの手を握り、彼女を自分の胸に強く抱き寄せた。「あなたも震えているのね」そう一言もらしジュリエットは地面を眺めている。その時、二人のまわりの優しい風がジュリエットのほのかな香りを届けてくれ、僕はようやく落ち着きを取り戻したのだ>

こんなシーンがあったとしましょう。私たちは、ジュリエットの手の“感触”、ユーザである僕の“感情”のジュリエットへの共有、まわりを吹く優しい風の“空気感”、ジュリエットの“香り”、これらのフィジカル体験も伝えたいのです。そして、舞台は綺麗なイタリアのヴェローナ街の川沿いです。VRデジタル×フィジカル体感の融合でユーザは僕(ロミオ)の人生を真になぞれるのです。この人間の感覚に訴えるエンターテイメントこそが、私たちが見据え、目指していく感動体験の形です。

画像:イタリア・ヴェローナ街の川沿い

前述したVRデジタル×フィジカル体験は技術面では今でも実現可能といえば可能です。例えば、触感は腕に電流を流すことで再現し、感情についてはウェアラブルデバイスで心拍数や体温を計測し判断するといった方法です。しかし、これらは技術精度、エンターテインメント向けにハード化するまでの予算、使い勝手、といった商品力の課題があります。そもそも本丸のVRヘッドマウントディスプレイも一段の普及に向けては発展段階なので、私たちが意識するVRデジタル×フィジカル体感の融合を満足にコンテンツ開発に活用できる時期は少し先になるでしょう。

起業した時は今こんなビジョンをもって事業をできているなんて夢にも思いませんでした。10年前といえばガラケー携帯で「怪盗ロワイヤル」という今思えばシンプルゲームが流行り、映画で言うと3D映像で話題になった「アバター」がヒットしました。もし、当時私がハリウッドの大手映画スタジオのプロデューサーだったとして、デジタルとフィジカル体験の企画を提案したら、「アバターでも製作費いくらかかっているかわかっているのか?」とビジネスセンスを疑われたでしょう。それが今や、ハリウッドのように大きな撮影所、ロケハン体制、有名俳優といった巨大資本が必ずしもなくてもVR技術のおかげで今までにないエンターテイメント体験を提供できるなんて本当にラッキーでエキサイティングだと感じています!

VR2.0時代のジーゼの強み

VRデジタル×フィジカル体感の融合の時代を、VR2.0と呼んだとすると今はまだヘッドマウントディスプレイが広がって、VRコンテンツが一般に受け入れられるかどうかのVR1.0の幕開けです。私たちはVR2.0で活躍するために、なんとしてVR1.0時代でノウハウや実績を積んでいかねばならないと思っています。これまでVR2.0のビジョンをお話してまいりましたが、目下のVR1.0市場は魅力的な成長市場でありながら、IT業界の中でも実は参入障壁が高い市場だと考えております。例えばVRゲームであれば企画力・エンジニアリング力・3Dモデリング力・モーションデザイン力といった力を備えた組織力、多彩な人種を採用できるグローバル体制コンテンツ愛をもつ社風が求められるのです。

VRゲームは、ユーザにとって本当にその世界にいるかのような没入感を体験できることが楽しみとなります。その体験は現実世界と比較されます、そこにある街並み・背景、一緒に旅するキャラクターの表情や動きが違和感のあるような品質では一気に冷めてしまいます。ユーザに最高の体験をしてもらうためには各工程・職種において高い技術力、組織力が求められます。また、3D空間を表現することは開発において背景やキャラクター等の素材点数や工数が格段に増えることを意味します。日本の人手不足の労働市場の中で大規模開発を実現するには外国人労働者との共闘が必要となり、組織のグローバル体制も必要でしょう。

このようにVRゲームは高い技術、組織力をもって臨む、映画とも変わらないエンターテイメントになっていきます。技術や人がそこに存在するだけではなく、さらにはそこにコンテンツへの愛がなければユーザを喜ばすことはできません。長い開発期間、ユーザを思い描きながら、ひとつひとつのシーンに対しこれなら人々に喜んでもらえるのか?を自問自答しながら、何度も何度も試行錯誤していきます。そういった仕事観を持つことが使命だと思えるような社風がなければ戦っていけないでしょう。これだけの資質は一朝一夕に築き上げられるものではありません。VR市場は10年前のソーシャルゲーム市場の黎明期のように早期参入して一気に資金調達した会社が勝者となった市場とは異なり参入障壁が高いのです。

私たちは創業以来、PC・スマートフォン・コンシューマーゲーム等の2D・3Dゲーム開発・運用をしてきました。これまで積み上げてきたノウハウ・技術力はVRゲーム市場でも通じることと思います。また、2015年より日本の労働不足を見据え、海外拠点の設立や、オフショア開発の取り組みをしてまいりました。今はグループで100名を超える体制ですが、多い時には協力会社のベトナム人エンジニア40名と協働することもありました。コンテンツ愛に関しては有名IPの版元様や大手ゲーム会社様との仕事を通じてご指導いただき培っていくことができました。大切なのはキャラクターやシナリオなどゲームそのものを好きになることです。キャラクターを愛せば、このシーンではこのキャラクターはこんな表情や発言はしないだろうと想像がつくようになりますし、めったにないシーンでは最高の演出をしてあげようと思えるようになります。私たちが楽しみ愛することがユーザにも伝わり、ファンになってくれるのだと思います。これらの資質をつみあげるのに10年かかってしまいましたがVR市場で戦う挑戦権は持ち合わせていると自負しております。

おわりに

私たちはVR市場に本気で懸けています。スマートフォンに次ぐ10年ぶりのイノベーション。エンターテイメントという視点で見ると2D→3D空間体験ということで、大げさに言えば映画の登場以来の100年に1度のイノベーションともいえるかもしれません。そんな人生でもめったにない機会に居合わせることができる!チャンスを逃したくない!という気持ちが冒頭の社内メンバーとのレディ・プレイヤー1鑑賞による意識合わせ会につながったのです。

さらに、社内メンバーに強く想いを伝えるために、開発中のVRゲームのデモが見られる展示会のようなVRブースも設置しました。私があまりにしつこいので、メンバーもVRコンテンツに触れるようになったのですが、今では彼らがVRの楽しみにはまりバンバン新作タイトルをダウンロードしています。VR市場における未来に共感してくれたと信じています。

写真:社内に設置されたVRブース
写真:社内に設置されたVRブース

この数か月で世界は一気に混沌としてきました。コロナ禍による大恐慌の予兆、医療崩壊、米中貿易戦争への緊張、イランのアメリカへの挑発、史上初の原油の急落、バッタの大量発生など数えきれない出来事が起きています。コロナ禍が日本で始まった2月が本当に遠い昔のように感じます。いつになったらコロナ禍は収束するのだろう。世界中の人々がこの社会情勢を不安に感じ夜も眠れない、そんな日々を過ごしていることでしょう。この社会情勢を見ると、まるでレディ・プレイヤー1の世界で過ごしているのではないかと思うほどです。こんな冴えない殺伐とした社会情勢に、100年に1度のタイミングでやってきたVRのイノベーション。これは偶然なのでしょうか。

この記事を書いているお昼時、北朝鮮の金正恩総書記の死亡説まで流れてきました。また社会情勢が変わり、地政学リスクが高まるのだろうかという思いがよぎります。私がそんなことを考えている横でリモートワークでない一部のメンバーがゲームをして大はしゃぎしています。なにがなんだかわからないけれども、自然と私まで笑顔になってしまいます。社会情勢とVRイノベーションの登場が偶然か?そんな難しく考えることはない。人々を笑顔にしてしまうのがエンターテイメントの力なのだから。私たちは私たちの夢を邁進していきます。その結果、私たちの夢と社会が調和し、人々の希望の光になればこの上ない喜びです。

以上、長文にお付き合いいただき本当にありがとうございました。